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当院では医師海外研修制度を導入しています。一昨年総合診療科 清水 孝行医師がアフリカニジェールで研修を行ってまいりました。清水 孝行医師の体験談をご覧ください

ニジェール研修について                 総合診療科 清水孝行

2回のニジェール研修の報告をこのホームページをお借りして行います。1回目は2003年1月から2月にかけて1か月、2回目は2003年10月から12月にかけて2か月の日程でした。つまり入職してから1年の間に3か月も職場を離れたことになります。その間、所属している外科のスタッフを始めとして、院内の皆様の御理解があってこそ実現した研修だと考えています。
ニジェールのテッサワパイロットセンターに研修に行ったのですが、そこで働いている外科医谷垣雄三先生と当院の山崎誠理事長が学生時代からの知り合いであったことが直接のきっかけです。また特定非営利活動法人アジア・アフリカにおける医学教育支援機構(理事長 熊谷義也氏)が前年から医師をテッサワパイロットセンターに派遣し始めており、私もそこからの派遣という形をとらせていただきました。1997年にはテッサワパイロットセンターで外科研修をしていたニジェール人医師のアラサン先生とママン先生が国際協力事業団JICAを通じて来日して、4か月当院で研修をしたという縁もありました。
ニジェールについて、ほとんど知らないという方が大部分だと思いますので、今回はニジェールとパイロットセンターのあるテッサワについて紹介させていただきます。具体的な研修内容は次回といたします。
ニジェール共和国は西アフリカの内陸国です。地理的には北にアルジェリア、南にナイジェリアという大国があり、他にマリ、ブルキナファソ、ベナン、チャド、リビアと国境を接しています。旧宗主国はフランスであり、独立は1960年。この年はアフリカにあった植民地が次々と17か国が独立してアフリカの年と呼ばれています。
言語はハウサ語、ザルマ語などであるが、公用語はフランス語です。人口は約1200万人、面積は1,267,000km2(日本は378,000 km2)です。一人あたりの国民所得は1年に240ドルと言われています。

ニジェールの通貨はFCFA(ツェーファーフラン)です。これはフランスを旧宗主国とする西アフリカ諸国の共通通貨で、ユーロに対して固定相場制です。1ユーロ656FCFA、すなわち1円が約5FCFAとなります。ニジェール共和国の首都はニアメです。ニアメはニジェール川沿いにあり、政治の中心であり、国際空港もニアメにあります。ニアメとパリの間には週2便エールフランスの旅客機が飛んでいて6時間かかります。季節によっては週1便になってしまいます。
テッサワは首都ニアメから780kmに位置しています。これはランドクルーザーをとばして10時間の距離です。地理的にはニジェールの中心にあります。すなわち西の端にニアメがあり、東の端はチャド湖であり、その中間がテッサワです。チャド湖はチャド共和国との自然国境となっていましたが、現在はひあがってしまい湖岸線はチャド側に後退してしまっています。テッサワのあるマラディ県の県庁所在地はマラディであり、テッサワから122mです。マラディは商業の中心地です。

テッサワは首都から離れている地方都市であるが適度に人口があること、780kmという距離が車で一日に移動する限界の距離であること、国土の地理的中心にあること、このような背景のもとテッサワパイロットセンターは運営されています。南には西アフリカの大国ナイジェリアがあります。マラディとナイジェリアの国境からナイジェリア側に200kmほど入るとカノという人口1000万人の大都市があり、テッサワの住民は国内では買えない商品はカノに買いに行きます。ニアメより近く、品物も豊富にあるからです。カノの住民はテッサワの住民と同じハウサ族であり言語もハウサ語で共通です。そもそも国境はフランスとイギリスが決めた人為的国境です。そんなこともあり、パイロットセンターには国境を越えてナイジェリアからも患者さんが治療に訪れます。
テッサワの住民は大部分がイスラム教徒です。イスラム教では一夫多妻制であり、妻は4人まで認められているとのことです。病院のスタッフの一人に聞くと、父親には4人妻がいて、4人の子供の数を足すと20人になると言います。女性の初産年齢が早いことも多産の原因でしょう。予防接種や公衆衛生の向上によって最近は乳幼児の死亡率が減少して、多産多死から多産少死に移行しているといいます。すなわち人口が急速に増加していて、現在の1200万人というのは人口支持力のぎりぎりであるとのことです。20年後には人口が倍の2400万人になるという試算もあるようです。そうなると食糧問題、就業問題などが今以上に深刻になってしまうことが予想されます。医療もそういった問題と無関係ではなく、これからの状況も厳しいと予想されています。
これから何回かにわけて、ニジェール研修で体験したこと、考えたことを硬軟まじえて書いていこうと思っています